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西欧化する日本 西欧化できない日本――日本の知性の古層と新層

日本における知性と技術と科学の関係の歴史性を描き出す

前近代と近代の文献を博捜し、『日本哲学思想全書』20巻『日本科学古典全書』10巻を編纂した思想史家が、その研究成果を縦横に活用し、日本の知性の「古層」と西欧化以後の「新層」の関係に迫る。近代化の過程で覆いをかけられた古いものが蘇ろうとする今、将来を展望するために省みるべき歴史的経緯。

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著者 三枝博音
書名 西欧化する日本 西欧化できない日本――日本の知性の古層と新層
体裁・価格 A5判上製 320p 定価6490円(本体5900円+税10%)
刊行 2014年8月
ISBN 978-4-906917-32-7 C0030

●三枝博音の著作 『新編・梅園哲学入門』 『近代日本哲学史』

●著者紹介

三枝博音(さいぐさ・ひろと)

1892-1963。広島県に生まれる。哲学、思想史、科学史、技術史の研究者。1922年、東京帝国大学西洋哲学科卒業。医学史の大家富士川游に師事。東洋大学、立正大学、法政大学などで教鞭をとる。1932年、戸坂潤らと唯物論研究会を組織し『唯物論研究』の編集責任にあたる。1933年、思想弾圧により教職を辞し、日本哲学思想史ならびに科学・技術史の研究と著述活動に専念。『日本哲学全書』『日本科学古典全書』など基本史料を編纂。戦後、明治大学教授、鎌倉大学校(鎌倉アカデミア)校長、横浜市立大学教授・校長を歴任。国鉄鶴見事故で死去。代表的著書に『三浦梅園の哲学』『技術の哲学』『日本の唯物論者』など。

●目 次

I 西欧化日本の研究

序 論 日本の文化の摑みどころ
   気
   器 用
   虚

第一章 日本人にとっての芸術
   西欧思想以前の日本の芸術
   ひとつの芸術論――歌論
   昔の日本のある芸術――茶道
   西欧化以後の文学論

第二章 日本人にとっての人間解釈
   日本人にとっての法の思想
   日本人にとっての教育思想
   日本人にとっての道徳思想
   日本人にとっての修養
   日本人にとっての兵法
   日本人にとっての儒教

第三章 日本人にとっての自然と歴史
   自然はどう受けとられていたか(その一)――外なる自然について
   自然はどう受けとられていたか(その二)――内なる自然について
   歴史はどう受けとられていたか
   歴史についての理論と自然についての理論

第四章 日本人の学問と日本人の思索
   学問はどう受けとられていたか
   儒教の学問
   哲学はどう進められたか

第五章 日本人の宗教
   西欧の宗教と日本人のそれとの違い
   仏教の庶民性と非庶民性
   問題を提出したキリスト教

第六章 西欧思想の受け入れ方
   受け入れの主体の思想(その一)
   受け入れの主体の思想(その二)
   受容に当って受けた損
   受け入れが沿っていった思想の線

II 西欧科学と日本の技術

第一章 日本における西欧科学の受容の仕方
   天文学および暦学の受容
   天文学および物理学の受容の仕方について
   医学の受容について
   中国における西欧科学の受容について

第二章 日本科学文明小史

第三章 にほん的技術の籠居性

第四章 近代日本の政治と科学・技術

III 日本の知性と技術

第一章 知性と技術

第二章 知性の日本的進み方(抄)
   わが先人の知性
   俳句の形象性と論理
   物像の往来
   和歌の報告文学性
   文学と技術文化