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維新の思想史

野蛮なる倒幕、欺瞞せる維新

維新評価見直しの先駆的業績。 碩学津田左右吉の膨大な思想史研究の動機となった幕末維新期の思想状況に対する疑問。 最晩年においてようやく果たされたその維新の思想史研究を集成。 日本人の倫理観喪失の淵源を示し、近代日本の足場の危うさを明かす。

●関連書
津田史学の思想――津田左右吉セレクション1
日本文化と外来思想――津田左右吉セレクション2
記紀の構造・思想・記法――津田左右吉セレクション3

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著者 津田左右吉
書名 維新の思想史
刊行形態 四六判上製 320p 定価3960円(本体3600円+税10%)
刊行日 2013年9月10日
ISBN 978-4-906917-16-7 C0021


●著者紹介

津田左右吉(つだ・そうきち)

1873年生、1961年歿。歴史学者。厳密な古典批判により、記紀の神代史が客観的史実でないことを論証し、学問的な日本・東洋の古代史と思想史研究を開拓した。のちにその研究が右翼思想家から告発され、幾つかの著書が発禁となり、次いで出版法違反で起訴された。主著『文学に現はれたる我が国民思想の研究』(岩波文庫全8巻)。

1891年、東京専門学校邦語政治科卒業。1896年、教員免許状取得。中学校教員等を経て、1908年、満鮮歴史地理調査部(白鳥庫吉主任)の研究員となる。1913年、『神代史の新しい研究』刊行。1914年、満鮮歴史地理調査部の閉鎖によりその事業が東京帝国大学に移管、1915年、その嘱託研究員となる(1939年まで)。1916年、『文学に現はれたる我が国民思想の研究』刊行開始。1918年、早稲田大学講師となる(1920年、教授)。1919年、『古事記及び日本書紀の新研究』刊行。1924年、『神代史の研究』刊行。1926年、東洋文庫研究部研究員となる。1927年、『道家の思想と其の開展』刊行。1930年、『日本上代史研究』刊行。1933年、『上代日本の社会及び思想』刊行。1935年、『左伝の思想史的研究』刊行。1938年、『儒教の実践道徳』、『支那思想と日本』刊行。1939年、原理日本社の出版物による津田史学への攻撃が始まり、1940年、早稲田大学教授辞職、著書二冊が発禁となり、出版法違反(皇室の尊厳冒涜)で起訴される。1944年、「時効完成により免訴」の宣告にて起訴事件は解消。1946年、『論語と孔子の思想』刊行。1947年、帝国学士院会員に当選。1949年、『日本の神道』刊行、文化勲章受章。1950年、『儒教の研究』刊行開始。1951年、第一回文化功労者に選ばれる。1953年、『日本文芸の研究』刊行。1957年、『シナ仏教の研究』刊行。1959年、『歴史学と歴史教育』刊行。1961年、朝日賞受賞、『思想・文芸・日本語』刊行。




●目 次

幕末における政府とそれに対する反動勢力
幕末時代の政治道徳
維新前後における道徳生活の問題
君臣関係を基礎とする道義観念
明治の新政府における旧幕臣の去就
維新政府の宣伝政策
明治憲法の成立まで
近代日本における西洋の思想の移植
福沢・西・田口 ――その思想に関する一考察――