Shoshi Shinsui




イラン・イスラーム体制とは何か
革命・戦争・改革の歴史から

アメリカの覇権主義に徹底して抗うイランとはどんな国なのか?

この四半世紀のイランを観察し続けてきた研究成果と、19世紀以来の歴史を踏まえ、イスラーム革命とイラン・イラク戦争の原因を歴史学的、政治学的に分析。

1979年ホメイニー革命以降のイラン・イスラーム共和国の困難な歩みを国内政治、国際政治の両面からとらえ、複雑な事情を抱えるその姿を総合的に呈示する初の成果。

米国の国際行動を見通すうえで不可欠の論点、“悪の枢軸、大国イラン”。“保守派”、“改革派”等、国内のせめぎあいの現実も詳しく紹介。(附・主要人物紹介・年表)

   



* 書評記事の断片をご紹介してあります。 こちら のページへどうぞ。


著者 吉村慎太郎
書名 イラン・イスラーム体制とは何か 革命・戦争・改革の歴史から
体裁・価格 四六判上製 384p 定価4180円(本体3800円+税10%)
刊行日 2005年10月30日
ISBN 4-902854-09-0 C1022


著者紹介 吉村慎太郎 (よしむら・しんたろう)

広島大学総合科学部助教授。1955年生まれ。1979年、東京外国語大学外国語学部インド・パーキスターン語学科卒業。1982年、東京外国語大学大学院地域研究研究科修士課程修了。1988年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。この間、米国プリンストン大学大学院近東研究科博士課程に留学(1985-86)、在イラン日本大使館専門調査員(1987-88)。1988年、広島大学総合科学部専任講師を経て、1992年より現職。主要著書・論文として、「中東諸国家体制とクルド問題」(1995年、『思想』No.850)、「イスラーム革命と民衆文化――イラン政治変動の潮流」(1996年、『イスラームに何がおきているか――現代世界とイスラーム復興』平凡社)、「レザー・ハーン首相期(1923-25年)のイラン政治」(2000年、『歴史学研究』No.738)、「近現代イラン政治の展開と宗教的/世俗的ナショナリズム」(2005年、『イスラーム地域研究叢書(5)イスラーム地域の国家とナショナリズム』東京大学出版会)ほか。

目 次

主要人物紹介 (アイウエオ順)

アフマディーネジャード(共和国第六代大統領)
アーレ・アフマド(作家・社会評論家)
ヴェラーヤティー(共和国外相)
サッダーム・フセイン(イラク大統領)
シャリーアティー(イスラーム思想家・社会学者)
シャリーアトマダーリー(宗教学者)
ターレガーニー(宗教学者)
バーザルガーン(共和国暫定政府首相)
バーキル・サドル(宗教学者)
ハータミー(共和国第五代大統領)
バニーサドル(共和国初代大統領)
ハーメネイー(共和国第三代大統領・第二代最高指導者)
ベフランギー(社会批評家・作家)
ホメイニー(宗教学者・共和国初代最高指導者)
ムーサヴィー(共和国首相)
モサッデグ(石油国有化運動指導者・首相)
モタッハリー(宗教学者)
モハンマド・レザー(パフラヴィー王朝第二代国王)
モンタゼリー(宗教学者)
ラフサンジャーニー(宗教学者・共和国第四代大統領)
レザー・シャー(パフラヴィー王朝初代国王)



序 章 イラン革命と歴史的変転
イランの歴史的展開の諸相/革命の原因論と歴史との接点


第 I 部 1979年イラン革命と国際関係

第一章 パフラヴィー独裁と国際関係の変転
パフラヴィー独裁に先立つイランの民族運動と英露/パフラヴィー独裁と歴史的脆弱性/モハンマド・レザー・シャー政権下の脆弱性の深化


第二章 革命の「イスラーム」化の背景と「ヴェラーヤテ・ファギー」体制
イラン・シーア派におけるオスーリー派の成立/イラン近現代史におけるシーア派宗教勢力/60年代の動向とホメイニーの革命思想/反シャー運動から革命への道/「裏切られた」革命――「ヴェラーヤテ・ファギー」体制の樹立/(年表)1979年革命に関する略年表(1978年1月〜80年1月)


第三章 冷戦下のパフラヴィー独裁と米国――「米国に死を」の背景
「片想い」の対象“アメリカ”/暴かれ始めた“アメリカ”の正体/シャー政権の自立化と“アメリカ”の「大悪魔」化/反シャー運動過程での“アメリカ”


第 II 部 戦争下のイラン――イスラーム革命政権の変転

第四章 イラン・イラク戦争発生の背景
イ・イ両国の断続的緊張関係と「領土・国境線問題」/イ・イ両国内政の変動――「非妥協」的政権の成立/イ・イ戦争発生の直接的要件(1)――イランの「脅威」/イ・イ戦争発生の直接的要件(2)――イランの「脆弱性要因」


第五章 イラン・イラク戦争の展開と停戦受諾への道
戦局の推移とイランの継戦政策の強化/イランの「誤算」と「非」戦争当事国の戦争関与/米国の直接介入と安保理停戦決議598号/安保理停戦決議(598号)受諾とイラン政治の混迷


第 III 部 カリスマ的指導者不在のイスラーム共和体制の苦悩

第六章 戦後イランの混迷とホメイニー体制の終焉
戦後復興と指導勢力内部の対立の表面化/ホメイニーの「ジレンマ」と指導性/後継体制樹立に向けた「遺言」と後継者問題


第七章 ポスト・ホメイニー政権の成立と党派政治
ポスト・ホメイニー体制と憲法修正/党派対立の構図とポスト・ホメイニー体制/党派対立の激化


終 章 ハータミー政府の登場とイラン政治の展開
「革命と戦争」の重荷と経済復興の桎梏/ハータミー政府の成立と激化する党派対立の構造/「改革派」への弾圧と99年学生運動/9・11事件後の米国とイラン内政/イラン政治の現段階と2005年大統領選挙


あとがき/註/主要参照文献リスト/図表一覧/イラン関連略年表/索引

索引(項目一覧の別ページ)