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共にあることの哲学と現実――家族・社会・文学・政治
フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉2 実践・状況編

変転する共同性の現代的状況をとらえ、新たなありかたを問う

岩野卓司、合田正人、郷原佳以、坂本尚志、澤田直、藤田尚志、増田一夫、宮ア裕助による、デリダ、ドゥルーズ、フーコー、バタイユ、ブランショ、レヴィナスの理論からの展開。現代の世界や日本の状況を考えるうえでフランス現代思想の共同体論が参照可能かどうかを見きわめる試み。

第1巻 理論編

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編者 岩野卓司
著者 岩野卓司・合田正人・郷原佳以・坂本尚志・澤田直・藤田尚志・増田一夫・宮ア裕助
書名 共にあることの哲学 家族・社会・文学・政治 フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉2 実践・状況編
体裁・価格 A5判上製 320p 定価4290円(本体3900円+税10%)
刊行 2017年11月
ISBN 978-4-906917-74-7 C0010

●目 次

序――共同体論を実践するために……岩野卓司

T 家 族
家族への信――デリダと絆のアポリア……宮ア裕助
現代社会における愛・性・家族のゆくえ――ドゥルーズの「分人」概念から出発して……藤田尚志

U 社 会
雑種たちの共同体を求めて……澤田直
「合理性の共同体」の存続のために――哲学的思考と教育……坂本尚志

V 文 学
宮沢賢治のアセファル共同体――共にあることと宗教……岩野卓司
「すべて」をめぐる断片の運動――ブランショにおける共同体の(非)実践的射程……郷原佳以

W 政 治
国家と社会の「あいだ」をいかに(反‐)造形するか――レヴィナス、ブーバーとユートピア的社会主義の明日……合田正人
喪のポリティクス――デリダ、「私は死で動いている」の射程……増田一夫

●著者紹介(50音順)

岩野卓司(いわの・たくじ) 1959年生まれ。明治大学教授。東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学博士課程満期修了、パリ第4大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(哲学)。専攻、思想史。主著、『ジョルジュ・バタイユ――神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』(2010年、水声社)、『贈与の哲学――ジャン=リュック・マリオンの思想』(2014年、明治大学出版会)。訳書、J.デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉』(共訳、2006年、岩波書店)、D.オリエ『ジョルジュ・バタイユの反建築――コンコルド広場占拠』、(共訳、2015年、水声社)等。

合田正人(ごうだ・まさと) 1957年生まれ。明治大学教授。東京都立大学大学院博士課程中途退学。専攻、思想史。主著、『思想史の名脇役たち』(2015年、河出書房新社)、『幸福の文法』(2013年、河出書房新社)、『レヴィナスを読む』(2011年、ちくま学芸文庫)。訳書、E.レヴィナス『存在の彼方へ』(1999年、講談社学術文庫)等。

郷原佳以(ごうはら・かい) 1975年生まれ。東京大学准教授。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程満期退学、パリ第7大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専攻、フランス文学。主著、『文学のミニマル・イメージ――モーリス・ブランショ論』(2011年、左右社)。訳書、M.ブランショ『終わりなき対話V』(共訳、2017年、筑摩書房)等。

坂本尚志(さかもと・たかし) 1976年生まれ。京都薬科大学准教授。京都大学大学院文学研究科現代文化学専攻二十世紀学専修博士課程研究指導認定退学、ボルドー第3大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(哲学)。専攻、20世紀フランス思想史。主著、『主体の論理・概念の倫理――20世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』(共著、2017年、以文社)、『反「大学改革」論――若手からの問題提起』(共著、2017年、ナカニシヤ出版)等。

澤田直(さわだ・なお) 1959年生まれ。立教大学教授。パリ第1大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(哲学)。専攻、思想史、フランス語圏文学。主著、『〈呼びかけ〉の経験――サルトルのモラル論』(2002年、人文書院)、『新・サルトル講義』(2002年、平凡社)、『ジャン=リュック・ナンシー』(2013年、白水社)。訳書、J.-P.サルトル『言葉』(2006年、人文書院)、『自由への道』(共訳、2009-11年、岩波文庫)、J.-L.ナンシー『自由の経験』(2000年、未來社)、F.ペソア『新編不穏の書、断章』(2013年、平凡社)等。

藤田尚志(ふじた・ひさし) 1973年生まれ。九州産業大学准教授。東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程満期修了、フランス・リール第3大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(哲学)。専攻、フランス近現代思想。主著、『ベルクソン『物質と記憶』を診断する――時間経験の哲学・意識の科学・美学・倫理学への展開』(共編著、2017年、書肆心水)、『愛・性・家族の哲学』全三巻(共編著、2016年、ナカニシヤ出版)、『反「大学改革」論――若手からの問題提起』(共著、2017年、ナカニシヤ出版)等。

増田一夫(ますだ・かずお) 1954年生まれ。東京大学大学院教授。東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学博士課程単位取得退学。専攻、フランス思想、フランス地域文化研究。主著、『カール・シュミットと現代』(共著、2005年、沖積舎)。論文、「デリダ 初めに――存在論的差異と存在者的隠喩」(2015年、『現代思想』43-2)。訳書、J.デリダ『マルクスの亡霊たち』(2007年、藤原書店)等。

宮ア裕助(みやざき・ゆうすけ) 1974年生まれ。新潟大学准教授。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。博士(学術)。専攻、哲学・現代思想。主著、『判断と崇高――カント美学のポリティクス』(2009年、知泉書館)、『終わりなきデリダ』(共著、2016年、法政大学出版局)、『続・ハイデガー読本』(共著、2016年、法政大学出版局)、『カントと現代哲学』(共著、2015年、晃洋書房)。訳書、J.デリダ『哲学への権利2』(共訳、2015年、みすず書房)等。