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宮廷人と異端者
ライプニッツとスピノザ、そして近代における神


●哲学的対決のドラマ ―― リアリティある哲学史

ライプニッツだけが深く理解しえた、そしてライプニッツこそが深く憎悪した、スピノザ哲学という世界革命。 未邦訳のライプニッツ文書を渉猟し初めて明かされる哲学者ライプニッツの生身の姿。 そして逆照射されるスピノザ革命の真価。 廷臣ライプニッツは何に仕え、破門の異端者スピノザは何から自由であったのか。 生きた哲学史の新しい風。
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著者 マシュー・スチュアート
訳者 桜井直文 朝倉友海
書名 宮廷人と異端者  ライプニッツとスピノザ、そして近代における神
体裁・価格 四六判上製 464p 本体価格3800円(税別)
刊行日 2011年11月30日
ISBN 978-4-902854-92-3 C0010


●本書の意義、読みどころなど書肆心水より刊行のごあいさつ (別ページへ)

●著者紹介

マシュー・スチュアート (Matthew Stewart)
1985年プリンストン大学卒業(政治哲学)、1988年オックスフォード大学で PhD(哲学)取得。著書にThe Truth About Everything: An Irreverent History of Philosophy with Illustrations(2005年刊)など。

●訳者紹介

桜井直文(さくらい・なおふみ)…… 明治大学教授(本書刊行時)。1982年一橋大学大学院社会学研究科博士課程中退。研究領域、哲学史・17世紀ヨーロッパ思想の諸問題。共編著、『スピノザと政治的なもの』(1995年刊)。

朝倉友海(あさくら・ともみ)…… 東京大学助教(本書刊行時)。2009年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(哲学)修了。研究領域、形而上学史・生命論・東アジア比較哲学。主要論文、「スピノザ『エチカ』における個別的本質と自己の問題」(2006年)。

●原 書
The Courtier and the Heretic: Leibniz, Spinoza, and the Fate of God in the Modern World.(W. W. Norton, 2006)





●内容紹介

ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ。――豪勢に着飾って諸国の宮廷に接近し、手練手管を尽して高給を引き出しては、その富をもって全ヨーロッパを股にかけた各種の新事業に万能の天才ぶりを発揮しようと活躍する「究極のインサイダー」。

バルフ・デ・スピノザ。――ユダヤ人コミュニティーから無神論の危険思想として破門され、間借り暮らしでのレンズ磨きを生業としつつ、近代を切り拓く前代未聞の革命的哲学を鍛え上げる「不気味に自足した賢者」。

誰よりもスピノザ哲学の意義を認めながら、既存のヨーロッパ的秩序に対するその危険性ゆえに、スピノザの哲学を深く憎悪したライプニッツ。二つの哲学の対決を、膨大な未邦訳のライプニッツ文書を渉猟して、従来ない大胆なスタイルで描く、リアリティある哲学史。





●目 次

1 1676年11月のハーグ
2 ベントー
3 ゴットフリート
4 精神の生活
5 神の弁護人
6 人民の英雄
7 ライプニッツの多面性
8 友人の友人
9 恋するライプニッツ
10 事物の全体についての秘密の哲学
11 スピノザへの接近
12 接 触
13 生けるスピノザ
14 スピノザ主義への解毒剤
15 出没する亡霊
16 抑圧されたものの回帰
17 ライプニッツの終わり
18 余 波





●原書の書評より

●じつに爽快……スチュアートは不可能に近いことを成し遂げた。思想家を戦士にしたてることによって形而上学的な思想の争いについての、ページを繰るのももどかしいほどひとを夢中にさせる本を作り上げた。(L・シリンジャー『ニューヨーク・タイムズ』ブックレヴュー/2006年の注目書)

●スチュアートは、純粋哲学の本を買おうとは思わなくても、なぜそんなふうに考えるのか知りたいと思っている読者のための、厳密で、読むに耐える知的な歴史、という新しいジャンルを打ち立てた。(『ザ・エコノミスト』)

●哲学が魅力にあふれていた時代を生き生きと描く入門書。(A・ゴットリープ『ウォールストリート・ジャーナル』)

●まったくすばらしい。かれのアプローチは洒落ていて、しかもきわめて説得的だ。……かれは業界用語を排してわかりやすいことばを選んだという点で表彰に値する。(M・ワイス『ニューヨーク・ポスト』)

●難解さで知られるこの二人の思想をわかりやすく提示しているばかりでなく、かれらの個人的・思想的・歴史的コンテクストを読者に明らかにするというすばらしい仕事をなしとげている。(S・ナドラー『スピノザ、ある哲学者の人生』著者)

●スピノザに対するライプニッツのきわめて複雑な応答を、手際よく、しかも、感心させられるほどの明晰さで論じているきわめてよい本であり、その対象になっている二人の人物の思想と生涯に対するこのうえない入門書である。(『ワシントン・タイムズ』)

●スチュアートは、ほこりをかぶった学術的な書棚から二人の人間を救い出し、ポストモダンの時代の西洋人も楽しめる思想と性格の違いを示す知的な人間たちとしてこの二人に生気を吹き込んだ。(F・ゴールドスミス『ライブラリー・ジャーナル』)

●「偉大な哲学のすべては思わず知らず書かれた一種の自伝である」というニーチェの格言にしたがって、スピノザとライプニッツの生涯と作品をたくみに縒り合わせ、二人の違いについてのエレガントな、そして、ときには愉快な概観をあたえている。(L・モンタナレッリ『サンフランシスコ・クロニクル』)

●スピノザの教説は近代世界を打ち立てた人びとによって受け入れられたけれども、ライプニッツの伝統的な宗教的信仰もまたこの近代世界に住む多くの人びとのなかに生きつづけている。したがって、スチュアートが物語るドラマは、宗教に対して懐疑的な読者も敬虔な読者もひとしく惹き付けることだろう。(B・クリステンセン『ブックリスト』)