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仏教統一論 第一編大綱論全文 第二編原理論序論 第三編仏陀論序論

●異色の総合的仏教入門

日本近代仏教学のパイオニアによる問題の書。 未遂のプロジェクト、仏教統一とは何か。 諸宗派対立の視点をこえて、仏教諸説の全体的構造を示す。 「八万四千の法門」をもつ仏教の森で迷わぬためのガイドブック。

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著者 村上専精
書名 仏教統一論  第一編大綱論全文 第二編原理論序論 第三編仏陀論序論
体裁・価格 A5判上製 352p 本体価格5700円(税別)
刊行日 2011年4月30日
ISBN 978-4-902854-85-5 C0015


●著者紹介

村上専精 (むらかみ・せんしょう)

1851年生まれ、1929年歿。仏教学者、仏者。東京帝国大学印度哲学科初代教授。大谷大学学長。主著『日本仏教史綱』、『仏教統一論』。

丹波国(兵庫県)教覚寺に生れる(父広崎宗鎧)。漢学を修めた後、1871年、新潟県無為信寺武田行忠の門に入り唯識を学ぶ。1874年、愛知県万福寺に入り、翌年京都大谷派高倉学寮に入るが、寮内紛擾により万福寺に帰る。1875年、愛知県入覚寺村上界雄の養嗣子となる。1887年、東京曹洞宗大学林講師、哲学館講師。1889年、東京神田に仏教講話所を開設、月刊雑誌『仏教講話集』を発刊し布教に努める。1890年、浅草大谷教校校長、東京帝国大学文科大学講師(印度哲学)。1894年、境野黄洋、鷲尾順敬と共に月刊雑誌『仏教史林』を発刊し仏教史研究の端をひらく。1898年、『日本仏教史綱』刊行。1899年、文学博士。1901年、『仏教統一論第一編』を刊行、大谷派本願寺の忌諱に触れ自ら僧籍を脱する。1905年、東洋高等女学校を創立。1917年、東京帝国大学文科大学教授(印度哲学講座担任)。1918年、帝国学士院会員。1923年、東京帝国大学を辞する(同名誉教授)。1926年、大谷大学学長。





●本書について

●本書は村上専精著『仏教統一論 第一編 大綱論』全文、『仏教統一論 第二編 原理論』序論、『仏教統一論 第三編 仏陀論』序論を一冊にまとめたものである。元本の刊行年と刊行所は次の通り。
・仏教統一論 第一編 大綱論 1901年、金港堂書籍
・仏教統一論 第二編 原理論 1903年、金港堂書籍
・仏教統一論 第三編 仏陀論 1905年、金港堂書籍

●『仏教統一論』は上記三編に第四編教系論と第五編実践論が続くと予告されたが、第四編が出ないままに第五編が刊行されたのは遥か後の1927年であった。『第一編』に説かれた大乗非仏説が問題となり真宗大谷派の僧籍を離脱せざるを得なくなった村上専精と『仏教統一論』という連作(の構想とその「挫折」あるいは「変節」)がもつ思想史上の意味については、現今の仏教研究の第一人者末木文美士氏の著書『明治思想家論(近代日本の思想・再考I)』(2004年、トランスビュー刊)第四章「講壇仏教学の成立――村上専精」に論じられているので併読されたい。

●上記末木氏の論考末尾より引用 ――「……この問題は決して村上ひとりにとどまるものではない。アカデミズムの中の仏教学は、その後西欧からインド原典を扱う方法を導入し、やがて世界の最先端を進むようになる。しかしその一方で、その根底を支える既成教団の価値観そのものに触れることをタブー視し、その上部構造に甘んじることになる。そして、その重層構造の中に閉ざされ、世間の「常識」とかけ離れた世界の中に自らを閉じ込めることになる。それは過ぎ去った過去の問題ではなく、現在なお深刻な問題として継続している。村上の提起した問題とその限界は、過去に押し込めて過ぎてしまうには、あまりになまなましい問題をはらんでいる。」





●目 次

●仏教統一論 第一編 大綱論

●序 論
第一章 研究の困難
第二章 研究の分類
第三章 研究の用意
第四章 研究の目的
第五章 研究の順序


●本論第一 根 底 論
第一章 総 論
第二章 インドの歴史に就て論ず
   第一節 古代インド思想の潮流
   第二節 釈迦の思想に被りし影響
   第三節 古代インド思想の二系統
第三章 釈迦の伝記に就て論ず
   第一節 釈迦牟尼仏の略伝
   第二節 釈迦の出家発心に就て論ず
      第一項 出家の因縁
      第二項 出家の願望
   第三節 釈迦の仙人歴問に就て論ず
      第一項 跋伽氏に対する問答の要領
      第二項 阿羅藍仙人に対する問答の要領
   第四節 釈迦の悪魔降伏に就て論ず
      第一項 無師独悟の六年苦行
      第二項 悪魔の分類及びその性質
      第三項 菩提樹下の降魔
   第五節 釈迦大悟の正覚に就て論ず
      第一項 生死問題解答の方式
      第二項 涅槃問題解答の方式
      第三項 自利と利他との関係論
第四章 釈迦の教義に就て論ず
第五章 結 論

●本論第二 教 綱 論
第一章 総 論
第二章 縁起的教綱論
   第一節 各縁起説の根本的綱領
   第二節 苦集滅道の略解
   第三節 十二縁起の略解
   第四節 小乗四諦説と大乗頼耶縁起説の異同論
      第一項 頼耶縁起説の概論
      第二項 比較的異同論
   第五節 小乗四諦説と大乗真如縁起説との異同論
      第一項 真如縁起説の概論
      第二項 比較的異同論
   第六節 小乗四諦説と大乗四諦説の異同論
      第一項 経文の抄出
      第二項 古人の見解
      第三項 自己の私見
   第七節 四諦の結論
      第一項 四諦説と各仏教
      第二項 四諦説の根本義
      第三項 四諦説の終極理想
第三章 実体的教綱論
   第一節 各実体論の根本的綱領
      第一項 法印の分数を論定す
      第二項 三法印は実体論の綱領なる所以
   第二節 諸行無常印の解
      第一項 総 論
      第二項 段落の無常説
      第三項 時刻の無常説
      第四項 即空の無常説
      第五項 結 論
   第三節 諸法無我印の解
      第一項 総 論
      第二項 世俗我の利用
      第三項 神霊我の排斥
      第四項 五蘊我の仮立
      第五項 絶対我実在論
      第六項 結 論
   第四節 涅槃寂静印の解
   第五節 小乗三法印と大乗二法印との異同論
      第一項 大乗二法印の概論
      第二項 比較的異同論
   第六節 小乗三法印と大乗一法印との異同論
      第一項 大乗一法印の概論
      第二項 比較的異同論
   第七節 三法印の結論
      第一項 四諦十二縁起に対する異同論
      第二項 三法印の根本義
      第三項 三法印の終極理想
第四章 結 論

●本論第三 大 系 論
第一章 総 論
第二章 中心的本体論
   第一節 消極的本体論
   第二節 各宗派に於ける消極論一致の証明
   第三節 積極的本体論
   第四節 積極的一分説
   第五節 積極的二分説
   第六節 積極的三分説
第三章 外観的現象論
第四章 中心的本体と外観的現象の異同論
第五章 向外的出の法則を論ず
   第一節 総 論
   第二節 出門第一例(分派法)
   第三節 出門第二例(郤来法)
   第四節 出門第三例(仮設法)
第六章 向内的入の法則を論ず
   第一節 総 論
   第二節 入門第一例(合同法)
   第三節 入門第二例(向上法)
   第四節 入門第三例(進行法)
第七章 結 論

●余 論
第一章 釈迦に対する鄙見
第二章 仏身に対する鄙見
第三章 大乗仏説に関する鄙見
第四章 信仰確立に関する鄙見
第五章 各宗合同に関する鄙見


●仏教統一論 第二編 原理論

序 論
第一章 歴史的研究の必要
第二章 教理史研究の分類
第三章 教理史研究の方針
第四章 涅槃の語義及び異訳
第五章 涅槃と実在との異同


●仏教統一論 第三編 仏陀論

序 論
第一章 宗教と教祖との関係
第二章 仏陀論発展の遠因
第三章 仏陀論発展の近因
第四章 仏陀論発展の側面
第五章 仏陀論発展の結果(その一)
第六章 仏陀論発展の結果(その二)
第七章 帰 結