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ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家――国家・戦争・資本主義

●ドゥルーズ=ガタリのマクロ政治学に光をあてる

ミクロ政治学として知られてきたドゥルーズ=ガタリにおけるマクロ政治学の力を解放すべき時代の到来を告げる画期的力作登場! 『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』における国家概念、戦争機械仮説の再検討を経て、現代資本主義における闘争の主体たるマイノリティへの生成変化へ。いまこそ見出されるべきドゥルーズ=ガタリ政治哲学の深層。

ここのリンク先で本書のなかをご覧いただけます(PDFファイル)


著者 ギヨーム・シベルタン=ブラン
訳者 上尾真道 堀千晶
書名 ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家 国家・戦争・資本主義

原書 Guillaume Sibertin-Blanc, Politique et Etat chez Deleuze et Guattari, PUF, 2013

体裁・価格 四六判上製 352p 定価4290円(本体3900円+税10%)
刊行 2018年3月
ISBN 978-4-906917-77-8 C0010


●目 次

第1部 原‐暴力――国家という前提

第1章 史的唯物論と国家‐形式の分裂分析
第2章 捕 獲――国家力能の本源的蓄積概念のために

第2部 外‐暴力――戦争機械仮説

第3章 遊牧論――戦争機械仮説へ向けて
第4章 定式と仮説――国家による領有と戦争力能の系譜学

第3部 内‐暴力――資本主義公理系

第5章 資本の公理系――諸国家と世界規模の蓄積
第6章 マイノリティへの生成変化、革命的なものへの生成変化

結 論 ミクロ政治は起こらなかった


(本書導入より)「ドゥルーズ=ガタリの政治思想はひどくないがしろにされている。ときにいわゆるミクロ政治的アプローチのために後回しにされている。ときに言及されたかと思えば、フーコー、ネグリ、ランシエールなど同時代の思想家のために頼まれてもいない思弁を補う役を担わされている。別のときには奇妙な外挿法ではぐらかされている。ドゥルーズの著作の形而上的、ノエシス的、存在論的言表に政治的含意が読み取られる一方で、近代政治思想の集中と分裂の中心をなす鍵(キー)シニフィアンについての二人の命題は、いっさい考慮に入れられないのだ。もちろん彼らに公正であろうとすれば、言説の取り締まりを訴えて、もろもろの言表を言説的国境へと追い払い、「形而上学」、「美学」、「政治」のおのおのの管轄へ帰そうとすることなどあってはならない。彼らこそ、いつもそれらの輪郭を攪乱しようとしてきたのだから。ただし、言説を脱コード化したために、マクロ政治的な問題が、主体性のミクロ政治学、マルチチュードの終末論、分け前なき者たちの密漁といった名目のもと、奇跡の蒸発を遂げたかのごとく提起すらされなくなるのであれば、やはりこの省略について考え直すべきであろう。」

●著訳者紹介

Guillaume Sibertin-Blanc(ギヨーム・シベルタン=ブラン) 1977年生まれ。パリ第八大学教授。ドゥルーズ=ガタリの政治哲学の専門家として国際的に知られる政治哲学者。本書以外の著書に『ドゥルーズと「アンチ・オイディプス」――欲望の生産』、『政治哲学(19-20世紀)』(共に未邦訳)がある。

上尾真道(うえお・まさみち) 1979年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。現在、京都大学ほか非常勤講師。専攻、精神分析理論、精神医療史、フランス現代思想。主な著作に『ラカン 真理のパトス』(人文書院)、編著に『発達障害の時代とラカン派精神分析』(牧瀬英幹と共編、晃洋書房)、論文に「フロイトの冥界めぐり――『夢解釈』の銘の読解」(『人文学報』109号)など。

堀千晶(ほり・ちあき) 1981年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科人文科学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学、立教大学ほか非常勤講師。専攻、フランス文学。主な著作に『ドゥルーズ キーワード89』(共著、せりか書房)、訳書にジル・ドゥルーズ『ザッヘル=マゾッホ紹介――冷淡なものと残酷なもの』(河出文庫)、ダヴィッド・ラプジャード『ドゥルーズ 常軌を逸脱する運動』(河出書房新社)など。