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グリーンファーザーの青春譜
ファントムと呼ばれた士(サムライ)たち


●戦後70年記念企画 整備日誌が語る戦場の真実

夢野久作の子、杉山茂丸の孫、そしてインド緑化事業の父としてグリーンファーザーと呼ばれる杉山龍丸。 大戦末期のフィリピンにおいて戦闘機隊の整備隊長を務めた若き著者が、技術職からみた戦場の真実、日本軍の技術・現場・戦略軽視がもたらす現実を語る、未来へのメッセージ。

推薦 田中健氏(俳優) 施光恒氏(政治学)
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著者 杉山龍丸 (杉山満丸編集)
書名 グリーンファーザーの青春譜 ファントムと呼ばれた士(サムライ)たち
体裁・価格 四六判並製 384p 定価2970円(本体2700円+税10%)
刊行 2015年3月
ISBN 978-4-906917-39-6 C0095

飢餓に苦しむインドで奇跡的な緑化事業をなしとげ、インドの人々から「グリーンファーザー」と讃えられた杉山龍丸。作家夢野久作を父に、アジア主義者杉山茂丸を祖父に持った若き陸軍学校生龍丸は、政財界の舞台裏に通じた茂丸の関係者から話を聞くうちに開戦しても勝ち目がないと覚り、対米開戦の反対運動を展開、東条暗殺までも企てた。

本書は大戦末期のフィリピンで飛行第31戦隊の整備隊長を務めた若き著者がその作業日誌に基づいて、技術職からみた戦争の真実、そして日本軍の技術・現場・戦略軽視がもたらす悲惨の真実を語りのこしたものである。敗戦必至という認識において、人はいかに戦いうるのか。戦後70年のいま、杉山龍丸の遺稿を公刊し、戦争の不条理をあらためて世に示す。

●推薦のことば

田中健氏 (俳優)
かつて私は「インドのグリーンファーザー」と呼ばれた著者が緑化した広大な地域をテレビ取材し、困難に立ち向かった姿とその成果に圧倒された。この遺稿には青春時代のフィリピンでの戦争経験と未来へのメッセージが凝縮されている。是非とも読んでいただきたい。

施光恒氏 (九州大学准教授・政治学)
戦前の政財界に大きな影響力をもった杉山茂丸を祖父に、作家夢野久作を父にもつ著者は陸軍整備将校として戦地の記録を克明に残していた。官僚化した上層部の非合理性、若き兵士たちの熱き思い――。我が国の将来を考えるうえで必読の文献である。

●著者略歴

杉山龍丸(すぎやま・たつまる)

1919年生福岡市生まれ、1987年歿。祖父杉山茂丸、父杉山泰道(夢野久作)。陸軍士官学校を経て陸軍航空技術学校進学、1943年卒業。飛行第31戦隊整備隊長、フィリピン隼集成整備隊長を歴任。戦後は千葉県稲城の引揚援護局に勤務。日本の農法と技術によりアジアにおける貧困根絶を企図して1955年に国際文化福祉協会を創設。1962年からインド訪問を始め、飢餓状況の調査を経て緑化事業を志し、親から受け継いだ杉山農園の地所を売却してその費用にあて志を果たす。著書に『印度をあるいて――ガンヂー翁のあとをつぐ人々』(1966年、国際文化福祉協会出版部)『飢餓を生きる人々――ガンジー翁の運動とは何か』(1973年、潮出版社)『わが父・夢野久作』(1976年、三一書房)『砂漠緑化に挑む』(1984年、国際文化福祉協会出版部)など。

*本の奥付の著者略歴に「戦後は引揚者を収容するために福岡市に杉山農園を経営。」「祖先伝来の杉山農園」と記載しましたが、これは事実ではないことがわかりましたので、お詫びして訂正いたします。